研究課題
従来の公開鍵暗号では実現が困難な暗号プロトコルが構成できるペアリング暗号が注目を集めており、RFC 5091などで国際標準化が進められている。ペアリング暗号の安全性は有限体上の離散対数問題の計算量的困難性を基にしている。本研究課題では、大規模な計算機解読実験によりペアリング暗号の安全性を解析評価することが目的である。本年度は、ペアリング暗号で重要となる有限体GF(3)のn次拡大体上の離散対数問題の解読実験を行った。特に、ペアリング暗号の性能評価のために多くの論文で実装評価されている拡大次数n=582を考察し、関数体篩法を実装することにより大規模な解読実験を行った。関係式探索ステップでは、格子篩を212CPUコアによる並列計算により実装し153.1日間で約153×106個の関係式を集めた。線形代数ステップは、151ビットの素数を法とする行列サイズ6百万×6百万の連立1次方程式を252CPUコアの並列Lanczos法により80日間の計算が必要であった。個別離散対数ステップなどの計算を含め合計148.2日間で解読することに成功した。本研究課題の大規模実験により攻撃者の計算能力限界を正確に解析することが可能となり、標数3の拡大次数n=2118の位数3357ビットの有限体は本攻撃法に対して今後20年間安全に利用できる見積もりを得た。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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