研究概要 |
旅行中に次に行く観光地を探したり,宴会後に2次会の会場を探したり,災害時に安全な帰宅路を探したりなど,モバイルコンピューティング環境において複数人がある目的のために協調して検索を行うモバイル協調検索に関する需要が高まっている.本研究グループでは,複数人でのモバイル検索における問題であるディスプレイが小さくて情報共有が困難であること,協調検索における対話によって検索行動が中断されること,他者と検索空間が被ってしまうこと,最終的な意思決定が困難であることなどに注目し,こうした問題を解決することを目的としている.そこで,複数ユーザが簡単なジャスチャ操作により手軽に検索グループを生成し,ワンタッチで検索結果アイテムをグループの他者の検索結果ページに割り込み可能とし,さらにその共有された結果に対する正負のフィードバックや,フィードバックに基づくランキングを可能とする仕組みを提案した.また,グループ内の他者の検索結果空間を提示するために,各ユーザが入力したクエリや閲覧ページ中に現れる語の頻度に基づいて探索空間を示すキーワード群を提示する手法を実現した.また,システムをAppleのiPhoneおよびiPod touch, iPad上に実装して運用を行うとともに,その有用性を明らかにするための評価実験を行った.実験では16名の被験者を4つの協調検索グループに分け,従来のシステムと提案システムで検索行動や意思決定の満足度にどういった違いが現れるかを調査した.実験から,ユーザらが情報を容易に共有できると感じていること,情報を共有しながら検索を進めることができたと感じていることを示し,検索に対する結論の満足度が向上することを確認した
|