研究概要 |
脳波センサを用いて利用者の気分の推定についての検討を行った.被験者に脳波センサを装着して歩行してもらい,運動前後でのデータを取得して検討した.しかし,これまで利用してきた加速度センサに比較して脳波センサはきわめて大量のデータを取得することになり,解析も複雑になってしまうことが容易に想像された.今年度が研究の最終年度であることを考慮し,脳波センサデータの解析ではなく,前年度から実施している加速度センサにより取得されたデータのさらなる解析に注力することとした. 前年度においては,複数の被験者による加速度センサデータによる解析を行い,共通して変化する特徴量を検討した.この検討をさらに進めたところ,歩行という行為に対して身長や体重,履いている靴の違いなどによる個人差が,データの解析に影響しているのではないか,という課題を発見した.これに基づき,被験者間の差を排除するために同一の被験者において繰り返し疲労時における歩行データの収集を行い,その分析を行った.具体的には,歩行時加速度データとVASによる自覚疲労感を記録した. 結果として,運動前後および休憩後での歩行速度,パワースペクトルの加速度振幅で有意差は認められなかったが,それらの変化の仕方は被験者が感じる疲労感と連動して増減する傾向が確認できた.また被験者が最も疲労を自覚した運動時にそれらの値は減少し,休憩後に再び増加する傾向が確認できた.実験の結果より,歩行時の足首の上下方向の加速度データから疲労度合いを推定しうることが示された.
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