研究概要 |
本研究の目的は,統計的機械学習手法の一つであるグラフィカル・モデルについて,それを適用できない人文科学研究などの分野でも利用可能なようにするために,統計的確率に代わる新たな基礎原理とメカニズムを確立することにある.統計的確率に代わる不確実性測度の基礎として主観信頼性を提案し,その基礎理論を構築した上で,グラフィカル・モデルの構成・構成・削除などの操作を計算機上での実現する.研究は,京都大学文学研究科林晋教授および京都大学情報学研究科博士課程池田真土里君を連携研究者として進めている 本年度は主観信頼性について貴重資料画像解読への応用の立場からの定式化を行った.従来の数理論理学やセマンティックWebの分野で研究されてきた型付きの一階述語論理に対して主観信頼性を導入した上で,主観信頼性が論理演算に対して満たすべき公準を明らかにした.さらに,Horn節からなる命題論理式に対しては,従来の統計を基礎としたグラフィカル・モデルとの関係を明らかにすることを試みた.また,主観信頼性に基づくグラフィカル.モデルの作成,更新,削除,修正手続きを実現し,グラフィカル・モデルの構成支援システムの基盤部分を作成した.さらに,貴重資料画像解読への応用を念頭にして,グラフィカル・モデルへの実体-関連モデルの導入,文字列画像検索への機械学習手法の導入を行った 本研究の結果は,「第1回ベイジアン・ネットワークのための先端手法に関する国際会議(AMBN 2010)および「第5回知識と情報創造性の支援システムに関する国際会議(KICSS 2010)」に採択され,後者においては当該論文がBest Student Running-up Awardを授賞した
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