本課題では、光学的計測に都合が良いLight Fieldを形成し、標準的なカメラでLight Fieldの光線を区別して検出するために、異なる波長で異なる方向から光を投射するLED光源とカメラを組み合わせた実験装置を製作した。昨年度は、3次元形状を簡易、高精細に検出する目的にLight Fieldを利用し、指の指紋の3次元計測を課題として研究を行ったが、平成23年度には、3次元空間を運動する物体の検出と追跡にLight Fieldを利用することを目的として光学計測性を試作した。現状のカメラの撮像センサでは被写体表面の反射光の反射方向別の光強度や撮像センサへ入射する光線の入射方向別の光強度を計測することはできない。そこで、照明方法に工夫を加えて、以下のように新しい光学計測の手法を開発した。 1.プロジェクターを複数台用いて、撮影空間に各方向から各色の光を照射することにより、Light Fieldを生成する装置を試作した。 2.上記装置を用いて被写体を照明することによって、被写体表面からの反射光強度を光の波長(色)によって反射方向別に分離して検出する方式を開発した。光線の方向とそれに対応する波長の対応関係を利用することにより、計算量を画期的に減らして、リアルタイムに物体の3次元運動を計測する方法を開発することを試み、同時に運度する2つの物体を区別して検出することに成功した。 3。特殊なLight Fieldで水族館内の水槽を照明することにより、魚の種別を画像認識する精度と計算効率を向上する方法を開発し、インタラクティブ水族館の実現に向けて新江の島水族館と共同研究を行い、魚の形状と模様を区別して追跡することに成功した。
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