研究概要 |
本研究の開始当時は,当初の目的として,下記3項目を挙げていた. (1)「隠消現実感(DR)」の対象となる現実世界は,除去したい事物,背景,体験(観察)者が静止しているか,移動しているか,その画像的な複雑さによって,処理手法がかなり異なる.本研究では,実行環境・条件を考慮した技術の体系的整理を行い,試験的研究実験を行ってこれを補強・更新する. (2)背景を上書きする隠蔽・消去する技術の他に,当該物体を「半隠消表示」する新規技法も研究する.(3)DRのための手法を体系的に分類したサーベイ論文を執筆する. この内,(3)に関しては,2年間の研究期間の最後の半年間で技術を整理し,サーベイ論文を執筆し学会投稿する予定であったが,初年度から体系的整理が進み,初年度末に論文誌投稿したところ,一発採択され,本年度第1四半期中に広く公開・衆知されるところとなった.このため,残る期間では,有力な手法の追試実験を予定以上に充実させることができ,初年度に作成した「技術マップ」をより精緻なものにすることができた.また,新手法による研究実験も進展し,学会発表できる水準に達した. (2)の「半隠消表示(Half. DR)」は,本研究独自の視点による研究であるが,これにも十分な時間を割くことが出来,その研究成果を国内外の学会に投稿・発表した. 本萌芽研究は,DR研究全体を一挙に解決しようとするものではなく,その本格的な展開の第一歩として,技術体系の基本骨格や技術マップの作成,学術的に挑戦すべき研究課題の抽出を行い,その研究結果を広く当該分野の研究者に開示することを目指していたが,その目的は十二分に達成されたと言えよう.
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