研究概要 |
本研究においては,ロボット自身の安全性を高めるための耐衝撃・負荷応力分散型の外装・骨格構造の構成法を明らかにすることを目的とし,そのための高い衝撃吸収能力と負荷応力分散能力を備えるとともに,高サンプリングレートで表面変形を計測可能な新たな自己安全確保のための肉質外装の構成法とともに,さらに分散・減殺された応力から関節部を保護する骨格構造の構成法の両方を明らかにする.平成23年度においては,主に,(1)飛び降り移動行動における耐衝撃・負荷分散外装骨格構造の検証と(2)検証実験結果の分析に応じた新しいトルクリミッタの改良設計および新たなハイブリッド外装の試作を行った.交付申請書では,23年度は上記のものに加えて,パラメータ評価のためのシミュレータ構築を行う予定であったが,22年度に開発した検証機自体の頑健性が創造よりも高かったため実機実験を繰り返すことにより評価を行うことで代替した. 具体的な成果としては,1)開発した検証機により,ベータゲル層とウレタン層のハイブリッド外装により,衝撃吸収力が向上すること,そして,トルクリミッタを全身の主要関節(7箇所)に備えることで,70cmの高さの机の上から落下した際にも関節を保護しつつ,衝撃吸収を行い,その後に,リミットトルクを超えて脱臼した関節を自動復帰させ通常動作に戻ることが可能なことを確認した,2)検証試験を繰り返し行うために,リミットトルクを調節可能で,かつ,摩擦が小さく,繰り返し試験時の耐久性を向上させたトルクリミッタを開発した,3)検証実験の結果,状況に合わせてパラメータを動的に変更可能であることが望ましいことがわかり,そのための新たな空気圧外装システムの試作を行った.これらの成果により,自己安全確保のための肉質外装の構成法を実際の行動試験を通じて明らかにすることができた.
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