研究課題/領域番号 |
22650043
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
斎藤 美穂 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (90288043)
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研究分担者 |
渡邉 丈夫 帝京平成大学, 薬学部, 准教授 (90409756)
三浦 久美子 早稲田大学, 人間科学学術院, 助手 (20548705)
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キーワード | 感性情報 / 香り / 学習・行動 / 動機づけ / 嗜好 / 作業効率 / 気分 |
研究概要 |
学習を行う上で、意欲の向上や持続は作業効率そのものに関わってくる重要な要素と考えられる。そして学習意欲の要因としては、目標設定などの内的要因と、学習環境といった外的要因とに大別できると思われる。前者に関しては多く研究がなされており、いくつかのモチベーション理論が提唱されている。それに比べ、後者に関する研究は未だ少ない。その様な中、本研究では、学習環境設計の一要素として香りに着目した。香りは、古くからその生理学的、薬理学的効果が研究されており、近年その心理学的効果に対する注目も集まっており、学習環境に用いることで意欲の向上、さらには作業効率の上昇に貢献できるのではないかと考えられるからである。加えて本研究の独創的な点は、香りに対する個人の「好み」に着目した点である。香りの嗜好性は非常に個人差が大きいとされるが、香りの様々な作用について、個人の嗜好別に検討された研究は極めて少ない為である。従って本研究では、好きな香りが作業効率、及び気分に及ぼす影響を検討した。 まず予備実験により、120種の香り刺激から、比較的一般に好まれやすく、覚醒効果が高く作業に向くと推測される香り6種(レモン、クローブなど)を選出した。そして本実験では、40名の被験者に各自好きな香りと嫌いな香りとを1種ずつ選ばせ、それぞれの香りを嗅ぎながら、内田クレペリン精神検査による計算課題を課した。同時に、2種類の気分評価にも回答させた。結果に対して、好き条件、嫌い条件の実験条件、及び無香状態の統制条件の3条件間で、計算課題の正答率、誤答率、気分評定結果などを比較した。その結果、好き条件で、作業効率の顕著な向上は見られなかったものの、嫌い条件で作業効率の有意な低下が認められた。また、気分評定においては、嫌い条件より好き条件の方がポジティブな気分をもたらし、作業に対する「やる気」を喚起させる傾向があることが分かった。
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