15個のビデオフィードバックと3面のスクリーンからなるシステムを設計。このシステムは、内部にヘッブ学習するニューラルネットワークを装備し、それによって結合ウェイトを変化させる。それを3ヶ月弱ミュージアムの半外の空間に展示してもらうことで、そこから毎日データを大学転送し、このシステムが長い時間のあいだにどのように変化しているかを、記録した。 このシステムのように、コンピュータの内部ではなく実際の空間で、長時間動かしてみることでそのロバストネス(頑強性)を検討するのは、新しい試みであり非常に意義がある。特に、雨の人晴れの日で振る舞いが異なることなどが、このシステムの観察日記から明らかになった。またこのシステムが自律的に自分の状態のアップデートを制御しているが、それをもとにシステム固有の時間の流れがどのように組織化していくかも議論した。これらの成果は、国際会議S3に招待されて発表し、論文を投稿している。 これ以外に、ビデオではなく音を入力として使った同じ動作原理のシステムも開発した。これは7月に、アサヒアートスクエアで発表した。 このように、明示的な目的はもたず現実空間で自分のダイナミクスを保守しながら動くシステムの開発は、人が介在しない自律的な技術開発め基礎研究に大きく寄与している。これにより、自律性の具体的なイメージが広く一般に伝わるとともに、生命の理論研究としてモデル化する際、自律性をみていくことの重要性を強く訴えることが出来た。
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