研究課題/領域番号 |
22650049
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
菅原 洋一 三重大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70144227)
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キーワード | 明治 / 銅版画 / 商工便覧 / 垣貫一右衛門 / 川崎源太郎 / 高崎龍太郎 / 大日本博覧図 |
研究概要 |
本研究は商家の活動形態、建築形態の全国的、地域的傾向を把握し、情報伝達手段としての銅版画の特質を明らかにするものである。本年度はその2年度目であり、昨年度に引き続いて未収集データの収集と、収集データの目録作成、内容分析、掲載建物や類似建物の現地確認と関連資料調査を行った。以下、より具体的に報告する。 1.未収集データについては、日本博覧図千葉県之部復刻本、絵で見る明治商工便覧の一部卷などの復刻本の収集、国文学研究資料館及び浜松市立中央図書館所蔵資料の写真撮影を行った。この結果、現在確認できる資料中、7,8資料を除いては収集を完了した。残る未収集資料のうち、所蔵施設の明確な資料は来年度に収集を行う。 2.既収集資料ごとに番号、名称、業種、所在地、備考からなる目録作成を行い、ほぼ全資料の一次入力を終えた。また、全体の約半数については校訂を完了した。 3.愛知県関係資料をもとに、商家看板の形態、設置方法、設置場所等と職種、所在地等の関係について検討を行った。 4.「日本博覧図静岡県之部」、「三重県名所図会」について、現存建物の特定を行うとともに、掲載図と現存建物の比較を行った。これらについては、現存建物と資料掲載図とが良く対応し、資料の表現内容に信頼が置ける事が確認できた。 5.以上、資料の収集分析を進める事ができ、来年度の研究を確実に遂行できる見込みを得た。また、多量の資料を整理分析するための課題も把握できたので、最終年度である来年度はこれを踏まえて研究の取りまとめを行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初想定した資料の相当部分を収集し、目録を作成することができた。また、今後の資料収集についても着実に進展する見込みを得ている。
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今後の研究の推進方策 |
未収集資料の収集や目録作成は着実に進展の見込みである。 各資料の緒言、巻記や書誌事項等の分析は未着手であるため、今後はその作業を進め、資料内容を著者、発行者との関係で整理する事が課題である。これは着実に進展するものと予測している。 一方、資料の量が膨大であるため、その内容分析や現存建物の確認が、やや遅れている。上記の著者、発行者による表現の類型性を整理する中で、個別資料の位置付けを明確化していきたい。
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