アフリカの開発問題が活発に議論されるようになっている。しかし、アフリカの国々においては、その基礎情報ともなるべき人口の把握、さらには、出生、死亡といった最も基本的な情報を把握し、登録する仕組みの整備が遅れている。それらの問題の多くは、1)情報発生末端レベルでの情報処理が滞っていること、2)中央との情報の連携が弱いこと、により生じており、これらの問題を解決することなしに基礎情報の整備は望めない。一方、携帯電話ネットワークは、アフリカにおいても、目を見張るスピードで普及が拡大している。既にインフラ整備が進んでいる携帯電話ネットワークを用いた出生・死亡の登録システムをケニアの辺境村落においても稼働するように開発し、同地域における運用試験を実施、その運用の可能性を検証すると共に、国全体での蓮用に関しての可能性を検討する事が本研究の目的である。本年度は、以下の開発を行った。 1)入力末端としての携帯電話プログラム開発:入力末端としての携帯電話における入力フォームを開発した。さらに、入力画面から携帯電話へのデータの保管、入力内容をテキスト化し、SMSによりデータの転送までを行う端末入力システムの開発を行い、データ転送の実験も行った。2)携帯電話からSMSとして発信されたデータを受け取る仕組みの構築=人口動態の情報を保管するサーバーもしくは、それに接続するコンピュータに携帯電話機能を持たせ、直接、役人から送信された情報を受信する仕組みを構築した。携帯電話網を介して、受信用サーバーによりデータを受信する仕組みを開発した。3)受信した情報をデータベースへ自動に格納する仕組みの開発:受け取った内容をデータベースに転送する仕組みの開発も行った。
|