研究概要 |
ノンパラメトリック回帰モデルにおいて,平滑化パラメータは推定曲線の局所変動の程度を制御する重要なパラメータである.パラメータの値が変われば推定曲線も大きく変化してしまうため,平滑化パラメータの最適化は重要問題であると言える.最適な平滑化パラメータは,C_p,CV,GCV規準といった情報量規準の最小化により選択されるのが一般的である.しかし,情報量規準を最小にする解は陽な形で求めることができず,最適な平滑化パラメータを得るためには計算機による繰り返し計算が必要となる.本研究の目的は,平滑化パラメータを追加しC_p規準を最小にする解が一意に求められるようにすることで繰り返し計算を必要としない平滑化パラメータの最適化法を考え平滑化法の簡便化をはかり,簡便な平滑化法をさまざまな統計モデルに適応させることにある.昨年の研究成果において,一般化リッジ回帰を適用することによりC_p規準を最小にする平滑化パラメータを陽な形で求めることができることをStatistics and Computingに発表した.ところが,一般化加法モデル(Generalized Additive Model:GAM)や動径基底関数ネットワークに基づくノンパラメトリック回帰モデル等の説明変数が複数あるモデルの場合,C_p規準を用いるために必要な誤差の分散の一致推定量の構成が難しくなる.そのため,分散の推定量を必要としない情報量規準を用いた方法が必要となる.研究発表,柳原において,そのような分散の推定量を必要としないGCV規準においても,GCV規準を最小にする平滑化パラメータを陽な形で求めることができることを報告した.この結果により,GAMや動径基底関数ネットワークに基づくノンパラメトリック回帰モデルに簡便な平滑化手法を適用できることになる.
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題の目的は,繰り返し計算を必要としない平滑化パラメータの最適化法を考え平滑化法の簡便化をはかり,簡便な平滑化法をさまざまな統計モデルに適応させることにある.繰り返し計算を必要としない平滑化法をGAMや動径基底関数ネットワークを用いたノンパラメトリック回帰モデルへ適用することが,部分的一般化リッジ回帰においてGCV規準を最小にするリッジパラメータが陽に求まることを用いることで可能であることがわかった.今後,実際に本研究課題で提案する手法をGAMなどに適用した場合の精度を数値的に調べる必要がある.また,GAMや動径基底関数ネットワークを用いたノンパラメトリック回帰モデル以外への適用も考える必要ある.
|