研究課題
1. 金電極間の電場を考慮した鎖状分子の電流電圧特性の解析手法の開発本研究では、これまでに、密度汎関数法に基づく高精度分子軌道法と非平衡Green関数法を組み合わせ、金電極間に挟まれた分子の電流電圧特性を、周囲に存在する水分子を考慮して高精度に解析できる分子シミュレーション手法を開発した。今年度は、電極間に働く電場の効果を取り入れ、電流電圧特性をより高精度に解析できる計算手法を開発した。その結果、より実験条件に近い環境下での電流電圧特性の解析が可能になった。2. 電流電圧特性に優れた新規人工核酸塩基、低分子の提案導電性ナノワイヤーとしての応用を目指し、高い電荷移動効率を持つ人工核酸が合成され、それらを含む人工DNA2重鎖が高い電気伝導度を持つことが実験で明らかにされている。本研究では、まず、既存の人工核酸塩基を含むDNA2重鎖の伝導度を解析し、実験結果を定性的に説明できる結果を得た。さらに、新規の人工核酸塩基を実験に先駆けて提案し、それらを含む人工DNA2重鎖の構造と伝導特性を解析し、従来よりも伝導特性に優れた新規の人工DNA2重鎖を提案した。その結果、DNA2重鎖を構成する人工核酸塩基のイオン化ポテンシャルが小さい程、2重鎖の伝導度は向上することを明らかにした。さらに、本研究で開発した高精度な伝導度計算プログラムを用い、様々な構造の低分子の電気伝導度を解析し、実験で得られた伝導特性を定性的に説明できる結果を得た。ダイオード特性を持つ低分子に関しても、その特性を定性的に再現できる計算結果を得た。また、低分子と電極間の接続構造、及び低分子周囲の水和水が、伝導度に大きな影響を与えることを明らかにした。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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J. Modern Physics, Special issue on DFT
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Journal of Physics: Conference Series
巻: 433 ページ: 012035