亜鉛ジンクフィンガー・ヌクレース(ZFN)と、Bacterial Artifitial Chromosome(BAC)をベースとしたattB-P(acman)をrecombineering法によって自在に改変し、これらを組み合わせて目的の遺伝子機能を自在に制御できる解析法を、ショウジョウバエをモデル動物として確立することを目的として研究を行った。1.いくつかのツールを使ってCaMKIIコード領域の最適なZFN標的配列を選択した。2.OPEN(Oligomerized Pool Engineering)を利用して標的配列を持つレポーター遺伝子を組み込んだ大腸菌を使って、感染可能な複数の組み合わせ持つプールのZFアレイをアッセイする大腸菌2ハイブリッドを行い、実験的に最適なZFタンパクを選択した。3.2つのZFNをそれぞれNLSを含む発現ベクターpCS-NLSにin-frameに組み込み、in vitroでキャップ付きRNAを合成した。NHEJ(非相同末端結合)による遺伝子改変に、これらのRNAを初期胚初期胚に注入し、成虫になったものを別個に交配しライン化した。ZFNによる遺伝子破壊を、標的配列を挟む部分にプライマーを作製しPCRを行い、DNAの欠失・付加を検出できる方法でスクリーニング中である。4.CaMKIIの遺伝子破壊は進行中であるので、申請者が作製したdNZF変異体について80kbpのattB-P(acman)によって表現型が回復することを確かめた。これをrecombineeringによって、翻訳開始をなくし酵母GAL遺伝子を挿入したattB-P(acman)を作製し、現在ライン化を試みている。このラインが内因性の発現パターンを再現できることを確め、当初の計画のようにCaMKI1遺伝子をrecombineeringによって改変しZFNと組み合わせた遺伝子機能解析法を確立する。
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