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2010 年度 実績報告書

逆問題を解くことでシナプス可塑性に迫る

研究課題

研究課題/領域番号 22650080
研究機関東京大学

研究代表者

池谷 裕二  東京大学, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (10302613)

キーワード神経回路 / 発火 / シナプス / 可塑性 / 情報 / 共焦点顕微鏡 / 活動電位 / アストロサイト
研究概要

シナプス可塑性のもっともよく知られた誘導ルールはスパイクタイミング依存性可塑性(STDP)である。本研究ではSTDPのルールを根幹から疑うことをスタート地点として研究をスタートした。手始めに、スパイクの伝導遅延に着目し、これがシナプスに到達するまでに時間差をもたらすことを仮定し、軸索の中途から伝導中のスパイクを記録したところ、活動電位の波形が摂動により変形しうることを見出した。具体的には、海馬培養スライス標本において、海馬CA3野錐体細胞の細胞体にAlexa Fluor蛍光色素を注入することで軸索を可視化し、細胞体から150-700μm離れた軸索からパッチクランプ記録を試みた。この記録のために、蛍光アルブミンタンパク質を電極表面にコーティングしてパッチクランプ電極を蛍光可視化した。細胞体と軸索の中間領域に、10μMグルタミン酸を局所的に適用したところ、軸索の活動電位幅が可逆的に増大した)。この効果は、非NMDA型グルタミン酸受容体アンタゴニストであるCNQXにより消失した。活動電位の増大がどれほど遠方に伝播するかを調べるため、グルタミン酸の適用領域から様々な距離において記録を行った。その結果、適用部位から遠ざかるほど、活動電位幅の増大効果は小さくなり、その減衰距離定数は223μmであった。これまで、神経細胞はアナログ入力(シナプス電位)をデジタル出力(活動電位)する「アナログ→デジタル変換素子」として捉えられてきた。すなわち、軸索起始部で発生した活動電位は、その後、減衰することなく一定の強度で軸索の終末まで伝播し、シナプス出力に直結するという概念である。この教科書的な基本則に反し、本研究では、i)活動電位の波形が軸索伝導中に変形されうること、そして、ii)その変形によってシナプス出力がアナログ的に変調されるという2つの重要な知見を明らかにした。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Asynchronously enhanced spiking activity of ischemic neuronal networks2011

    • 著者名/発表者名
      Ujita, S., Mizunuma, M., Matsuki, N., Ikegaya, Y.
    • 雑誌名

      Biol.Pharm.Bull.

      巻: in press

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Fluorescent pipettes for optically targeted patch-clamp recordings2010

    • 著者名/発表者名
      Ishikawa, D., Takahashi, N., Sasaki, T., Usami, A., Matsuki, N., Ikegaya, Y.
    • 雑誌名

      Neural Netw., 23:669-672, 2010.

      巻: 23 ページ: 699-672

    • 査読あり

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公開日: 2012-07-19  

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