研究課題
神経回路の再生を大きな目標として、光ガイドによる神経突起の伸長制御技術を開発する。胎生期に神経伸長を司る神経栄養因子やガイド分子受容体は、細胞内情報伝達を活性化する代謝型の分子である。そこで植物の代謝型光受容体フォトトロピンと、神経成長因子NGF受容体TrkAと融合させた光制御可能な新規融合蛋白質を作成を目指した。まずpcDNA3.1mycHisベクターに、シロイヌナズナのフォトトロピン1(Phot1)あるいは2(Phot2)を組み込み、COS-7細胞に発現させた。青色光照射を行い、myc抗体による免疫沈降を行い、Phot1やPhot2の自己リン酸化をPKA基質特異的リン酸化抗体で検出した。その結果、Phot1では光依存性の自己リン酸化上昇が確認できた。これはPhot1が哺乳類培養細胞においても青色光を受容し活性化する機能を保つことを示す。Phot1ではLOV2領域とそれに続くJα鎖の結合が光刺激により解離する。これが光スイッチとして機能するので、LOV2・Jαの後ろにTrkAあるいはSrcのチロシンキナーゼ領域を繋げた蛋白質を複数種作成し、光依存性に自己リン酸化が上昇するものを探索した。しかし光活性化能を示す融合蛋白質は得られなかった。Srcの場合、暗状態でも強い自己リン酸化を示す融合体しか得られず、これはLOV2・Jαの相互作用がチロシンキナーゼの構造を歪ませて活性を抑制するほど、強くないことを示唆していた。そこで現在はフォトトロピン以外の光受容体にあるLOV領域を用いて、光刺激に伴いTrkが活性する融合蛋白質の作成を試みている。
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Journal of Neuroscience
巻: 31 ページ: 1773-1779