研究概要 |
本研究では、高出力フェムト秒レーザーを用いて、脊椎動物胚体の単一細胞に遺伝子やナノ粒子を物理的に導入する方法を確立することを目標として行った。 申請書に記載した研究実施計画に基づき、本年度はゼブラフィッシュ胚を用いて、1)導入効率と生存率が最大になる条件の検討、2)導入できる物質の種類とサイズの検討、3)導入する細胞の種類ごとの条件の検討、および4)導入できる発生ステージの検討を行った。 その結果、1)、3)および4)各種ステージの胚について、上皮および神経管の単一細胞に導入する導入効率と生存率が最大になる条件を明らかにした。また、2)アンチセンスモルフォリノオリゴヌクレオチド、RNAからデキストラン(分子量10,000Da)まで導入できることを明らかにした。 たとえば、28hpf胚の上皮細胞にはFITC-MOを400nJ/pulseの強度により、70%の割合で単一細胞に導入することに成功した。また、10,000Daデキストランは25-26hpf胚の上皮細胞に400nJ/pulseで70%の割合で単一細胞に導入できたが、28hpf胚になると400nJ/pulseでは40%の割合でしか単一細胞に導入できず、800nJ/pulseで60%の割合で単一細胞に導入できることなどがわかった。 このように本年度は、研究実施計画において目標としていた全ての課題を達成することができた。
|