研究課題
雌雄生みわけによる雌動物の獲得は家畜生産で渇望されているため、その例として、体外受精および胚移植の容易なマウスを用いた雌雄の生みわけを試みる。マウスにおいても体外受精では、雄は媒精のため1匹いれば十分であるが、その一方で雌は1匹当たり10~20個の排卵数にも関わらず、胚移植後に得られる産子は排卵数の3割程度であるため、より多くの匹数を必要とされる。本研究目的は、従来困難とされていた哺乳動物の雌雄生みわけを可能にする新しい方法の開発である。哺乳動物の例として、生殖工学的生産によって作製されるマウス乳子の雌雄50(%):50の性比に人為的な偏りをかけることにより、雌マウスを多く得る技術の確立を目指した。初年度は、第一にマウス精子でのSry遺伝子発現の有無についての定性解析および蛍光基で標識されたSRY抗体とマウス精子の結合について検討した。その結果、マウス精子においてもSry遺伝子は発現しており、Y精子と推測される精子にてSRY抗体およびCy3との結合による発光を顕微鏡下にて確認した。さらに、この発光している精子を顕微授精した結果、80%の確率で雄を得ることが出来た。次年度では、Cy3を抗体精製用の磁気ビーズに置き換え、体外受精への応用を試みた。すなわち、精子を採取した培地内へSRY抗体・磁気ビーズの複合体を添加し、磁石によりこれと結合した雄精子を培地底面に引き寄せ、培地上部の雌精子を媒精に用い、胚移植を行った。その結果、約7:3の割合で雌を多く得ることが出来た。過去に報告された産み分け技術に比べ精度は落ちるが、マウスのような実験小動物でのルーチンワークでの応用には十分にかつ簡便に活用できる技術であると思われた。
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Experimental animals
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