研究課題
挑戦的萌芽研究
本研究目的は、従来困難とされていた哺乳動物の雌雄生みわけを可能にする新しい方法の開発である。そのための第一段階として実験動物のマウスで検討を行う。すなわち、生殖工学的生産にマウスの雌雄50(%):50の性比に人為的な偏りをかけることにより、雄あるいは雌を多く作製する技術の開発を試みた。先ず、Y精子体部にはSRYタンパクが分泌されていると報告されていたので、SRY抗体とCy3の複合体を精子のいる培地へ加え、蛍光顕微鏡下で観察してみた。その結果、Cy3による蛍光を発している精子と蛍光を発していない精子が観察された。さらに蛍光を発している精子をピックアップし、顕微授精を行ったところ、36匹のマウス乳子のうち31匹の雄マウスを得ることができた(86.1%)。次に、Cy3を磁気ビーズに置き換え精子のいる培地へ添加し、磁力によりSRY抗体-磁気ビーズと結合した精子を培地底面に引き寄せ、X精子が多く存在していると思われる培地上部を体外受精に用いた。その結果、平均67.3%の比率で雌を多く生産することができた。従って、雄の生み分けにはSRY抗体-Cy3複合体を用いたICSIが有効であると言える。一方、雌の生産のための磁気ビーズによる分離を用いた方法は、その比率が少し低く改善の余地が求められるものの、2つ以上の変異遺伝子マウスを作製時に、最初の体外受精で多くのホモあるいはヘテロ雌を作製する場合には有効であると思われる。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
Experimental animals
巻: 60巻 ページ: 21-32
DOI:10.1538/expanim.60.21
実験動物技術
巻: 46巻 ページ: 11-18
http://ci.nii.ac.jp/naid/10029381001
巻: 60巻 ページ: 497-508
DOI:10.1538/expanim.60.497