研究課題
昨年度行った健常者のガス分析を元に本年度は、早期乳癌発見のための自己検査ツールとして、皮膚微量ガス簡易測定法の基盤技術の確立を目的とした。具体的には、「(1)乳癌特異的皮膚ガスの分子種の解明」、「(2)乳癌検出感度の予備検討」を行った。「乳癌特異的皮膚ガスの分子種の解明」では、まず、最適なガス吸着担体・吸着時間・貼付方法について検討し、最適な皮膚微量ガス回収法を確立しつつある。数名の健常者と乳癌患者の皮膚ガスを比較検討し、乳癌特異的皮膚ガスの分析を行った。特異ガス吸着物質としてはPDMSを用いて、乳房近傍、乳首周辺、の数カ所の検討を行った結果、予想通り、乳首周辺からのガスの発生量が多いことが示された。吸着物質であるPDMSは基本的に大きな面積の方が多くのガスを吸着できるのだが、加熱脱離装置のサイズの都合上、17x5mm程度が最大であった。乳癌患部近くの皮膚(乳頭)から発生する微量ガスを回収する貼付剤として数種類の市販の添付剤を試した。添付剤そのものの影響は殆ど見られなかったが、被験者の意見によると剥がす際に「若干痛みを感じる」添付剤が有ることが分かった。結果的にはN社のCという製品の使用感が好ましかったようである。乳癌患者では、健常者に比べ、呼気中に増加する揮発性有機化合物14種類が報告され、我々も同様の分子を確認している。乳癌患部近くの乳頭から排出されるガスは、血液中に溶けずに乳管を介して直接、乳頭から体外へ排出されるため、呼気ガスに比べ、乳癌特異性がさらに高い可能性が期待される。実際の乳癌患者のサンプル数を増やし、GCMS分析で比較検討し、乳癌特異的皮膚ガスをより確実に同定することが必要である。
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Electrochemistry
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