研究概要 |
[研究の目的]光触媒として利用されている酸化チタン(TiO2)をリポソーム内に封入し、さらにナノバブル化することで、世界初の酸化チタン封入ナノバブルリポソーム製剤の生成を行う。酸化チタン封入ナノバブルリポソーム製剤と超音波を併用することで、強力な抗腫瘍効果を得られるうえ、骨髄抑制などの重大な副作用のない安全かつ簡便な癌治療の可能性をさぐる。 [研究実績]実験計画では酸化チタン封入ナノバブルリポソームの作製;酸化チタンとリポソームをバイアルに入れ、密閉した状態でガスを加え加圧する。それを、高速で振動する撹拝器にかけた。様々な条件下で作成さえたバブルリポソームの直径を測定する方法が検討された。光散乱光を利用した粒子経測定法がもっとも安定的な結果が得られた。一方、バブルリポソームと酸化チタンを組み合わせた腫瘍実験では、強力集束超音波(HIFU)プローブを使った。モデル細胞としてメラノーマ細胞株(C32)を用いた。PI染色法で細胞の生存率を測定した結果、超音波照射群はコントロール群に比べ細胞破壊効果が著明に認められた。細胞の破片など、超音波とチタンを併用した検体で有意に増加が認められた。細胞は超音波の機械的な応力で破壊され、化学的な細胞殺傷よりも強いことが示唆された。超音波の強度を30V,40V,50Vに増加するほど、細胞殺傷率も増加した。コントロール群に比べ、細胞殺傷率が4倍まで上昇した。本実験では超音波とチタンを併用することでキャビテーションが発生し、それが細胞の機械的な破壊効果へとつながったと推測された。
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