研究課題/領域番号 |
22650124
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
粂井 康宏 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (30161714)
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キーワード | 大脳基底核 / 線条体 / パーキンソン病 / ラット / 神経伝達物質 / リハビリテーション / ニューロン活動 |
研究概要 |
パーキンソン病の進行を緩和するために、大脳基底核のニューロン活動を反映したリハビリテーションを実験的に開発する。病変部位に入出力する複数のニューロン活動を相互に解析し、基底核のニューロン活動をマッピングする。これを活用して安静時振戦、筋固縮、寡動、歩行障害等のパーキンソン病の進行を精確に予測した合理的なリハビリテーションを施し、効果を検証することが本研究の目的である。パーキンソン病モデルラットを用いて、in vivoマルチ電極記録システムにより、平成22年度では、ドーパミン作動性ニューロンの特異的神経毒MPTPを脳内インフュージョン装置により線条体被殻に3日間連続して合計4μgを注入し、ラット全数の所定のパーキンソン病モデルラット発症を確認し、基底核ループを構成するニューロンsingle unit活動を同時に記録した。平成23年度は、研究協力者(ゼレド・ジョージ)は、パーキンソン病急性期と慢性期において、当該部位でのニューロン活動の電気的活動と同時に、ドーパミンやセロトニンなどをマイクロダイアリシスで直接回収し、行動変化に応答して放出されるモノアミン神経伝達物質を定量分析した結果、抑制性に作用するセロトニンが低下することによって興奮作用が発現することが示唆された。そこで、同ラットの縫線核にハイブリッド電極(マイクロダイアリシス用カニューレと電気活動測定用タングステン電極)を埋入したラットを用いて、行動負荷実験を行い、セロトニンおよびドーパミンの放出を定量分析した結果、セロトニンは変化なく、むしろドーパミンが刺激依存性に変動することがわかった。平成24年度は、当該プロジェクトの最終年度なので、パーキンソン病特有の行動異常に関して、基底核および脳内広範囲調節系(ドーパミン、セロトニン中枢)との関連を総括的に調べる予定であり。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該研究実施に際して、特殊な動物脳内神経活動記録の手技をもつ研究協力者(ゼレドジョージ、ブラジリア大学准教授)が自国での教育等に拘束される時間が、予想以上に多く、来日の機会が以前に比べて少なくなったため、実験頻度が少なくなったため。
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今後の研究の推進方策 |
パーキンソン病は最も罹患率の高い挿経変性疾患であり、症状進行は不可逆的である。したがってリハビリテーションの効果を最大限にするためにも早期発見が最も重要であり、今回採択されたテーマをベースにした追求を行う方針である。幸い、ごく最近、大学内での特殊実験実施の許可が得られたので、当該科研費テーマの範囲で、マウスパーキンソン病モデルを使って、同疾患に特有の神経変性にともなって最初期に表出する行動異常を検出するため、従来にないX線3D動画解析などの全く新しいアプローチを駆使して、本研究のコアを追求していく計画を進める。
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