パーキンソン病の進行を緩和するために、大脳基底核のニューロン活動を反映したリハビリテーションを実験的に開発する。病変部位に入出力する複数のニューロン活動を相互に解析し、基底核のニューロン活動をマッピングする。これを活用して安静時振戦、筋固縮、寡動、歩行障害等のパーキンソン病の進行を精確に予測した合理的なリハビリテーションを施し、効果を検証することが本研究の目的である。パーキンソン病モデルラットを用いて、in vivoマルチ電極記録システムにより、平成22年度では、ドーパミン作動性ニューロンの特異的神経毒MPTPを線条体被殻に3日間連続して合計4μgを注入し、ラット全数の所定のパーキンソン病モデルラット発症を確認し、基底核ループを構成するニューロン活動を記録した。平成23年度は、パーキンソン病急性期と慢性期において、当該部位でのニューロン活動の電気的活動と同時に、ドーパミンやセロトニンをマイクロダイアリシスで直接回収し、行動変化に応答して放出されるモノアミン神経伝達物質を定量分析した結果、抑制性作用を有するセロトニンの低下によって興奮作用が発現することが示唆された。そこで、同ラットの縫線核にハイブリッド電極(マイクロダイアリシス用カニューレと電気活動測定用タングステン電極)を埋入したラットを用いて、行動負荷実験を行い、セロトニンおよびドーパミンの放出を定量分析した結果、セロトニンは変化なく、むしろドーパミンが刺激依存性に変動することがわかった。平成24年度は、パーキンソン病特有の行動異常の発症と、ドーパミン、セロトニン中枢におけるニューロン活動変化との関連の他に、パーキンソン病の早期発見に有用な情報を得るため、パーキンソン病モデルマウスをX線動画撮影し、マクロの行動変化に先行して現れる発声リズム(画像)の微細な変調について、現在、詳細を解析中である。
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