理学療法では骨格筋や靭帯、腱、関節包等の軟部組織由来の拘縮状態の関節に対し超音波治療を行うことがあるが、関節軟骨の軟骨細胞を標的とする超音波治療はまだ行われていない。最近、超音波刺激(LIPUS:低出力超音波パルス)が骨芽細胞を刺激し骨折治療において効果的であることが明らかにされた。しかしLIPUSが軟骨細胞に及ぼす影響についてはほとんど調べられていない。超音波刺激強度が適切であると軟骨細胞に良い影響がある可能性があるが、逆に超音波刺激強度が強すぎると生体組織は破壊される危険があるので、低強度のLIPUSでさえも軟骨細胞にとって安全かどうか不明である。そこで今回、理学療法治療への応用を視野に入れ基礎研究を実施した。具体的には、LIPUSの刺激強度が軟骨細胞に及ぼす影響を調べた。ウイスター系雄ラットの膝関節から関節軟骨を採取した。この採取軟骨をコラゲナーゼ処理して軟骨細胞を単離した。軟骨細胞を単層培養してLIPUS刺激を与えた。単層培養軟骨細胞にはIL-1ベータを無添加、100ピコグラム/ml添加、1000ピコグラム/m1添加し、0、7.5、30、120W/cm^2の強度でLIPUS刺激を与え、mRNAをReal-time PCRで分析した。その結果、LIPUSはMMP13mRNAを即時的に抑制した。また、その抑制はLIPUS強度依存生に高まった。さらにIL-1ベータの濃度にも影響を受けた。またLIPUS刺激以外にも超音波刺激関連の研究を実施した。加えて国内外の学会等に出席して研究に必要な最新で最先端の情報・研究資料を収集するとともに研究成果を発表した。
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