研究課題/領域番号 |
22650141
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
細貝 正江 鳥取大学, 医学部, 助教 (50032206)
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研究分担者 |
松尾 聡 鳥取大学, 医学部, 准教授 (40219390)
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キーワード | 身体システム学 / 睡眠 / 延髄縫線核 / 発達 / ラット / 呼吸筋活 / 心電図 / 脳波 |
研究概要 |
本年度は2,3,8週齢のラットを用いて、延髄縫線核を薬物を用いて傷害し、その効果を調べた。延髄縫線核を化学的に傷害するために、従来神経細胞を選択的に破壊するのに使用されてきたカイニン酸を用いた。 8週齢のラットをペントバルビタール麻酔下で麻酔し、心電図、呼吸運動の指標のための横隔膜筋電図用電極を装着した。その後、薬物注入用に後頭のラムダ縫合を指標にして正中部にドリルで微小の穴をあけた。心電図及び横隔膜筋電図を記録しながら、その穴に0.1%のカイニン酸を満たしたハミルトン・シリンジを挿入してカイニン酸を微量注入した。注入後、呼吸運動は低下し、20分後、無呼吸が生じ、カイニン酸の注入量により、無呼吸及び心停止後に死亡、あるいは無呼吸からの回復が観察された。後の組織学的検索により、注入部位は、不確縫線核と淡蒼縫線核であることが確認された。 2及び3週齢のラットについて、呼吸運動の指標として、気管切開の後、差圧トランスデューサーに接続して呼吸気流を記録して、同様の実験を行った。2週齢ラットについてはハミルトン・シリンジ挿入による侵襲が大きく死亡率が高かったが、3週齢ラットについては死亡率は幾分低下した。カイニン酸注入の方法と注入量を検討し、延髄縫線核傷害後の記録に向けて、改善を行っている。記録は全てサーマルアレイレコーダーで同時記録すると共に、データ収集・解析システムにとりこみ、松尾 聡(分担者)と共にオフラインでの解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
8週齢ラットでは、延髄縫線核へのカイニン酸の微量注入により、呼吸運動は一旦停止するが、その後回復しほぼ正常に戻ることがわかった。しかし、傷害の程度が大になると、無呼吸からの回復はみられなかった。幼若ラットのうち2週齢ラットでは、延髄縫線核へのハミルトン・シリンジ挿入による物理的傷害で、3週齢ラットではカイニン酸注入によ化学的傷害で、呼吸停止が起こりやすいことがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
2及び3週齢ラットの延髄縫線核について、カイニン酸の注入量を検討し、呼吸停止その後の回復状態について調べる。延髄縫線核の傷害がその後の8週齢までの成長過程に及ぼす影響について検討する。
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