研究概要 |
スポーツ選手の骨の状態を評価する一手段として、本研究では唾液に着目し、が、唾液が、スポーツ選手のコンディショニングのための科学的サポートツールの一つとしてのバイオマーカーとなり得るか否かを検討する。 この目的のために、まず、唾液中カルシウム濃度の日内変動、日差変動を検討することとした。なお、骨との関係を今後検討するために、併せてDXA法による全身骨密度測定を実施した。対象は20歳台の男女それぞれ6人とした。対象者の全身骨密度は、対象者と同年齢の平均値と比較して、同程度あるいは高値であった。日内変動の検討では、早朝空腹時、朝食後、昼食前、昼食後、間食前、間食後、夕食前、夕食後、就寝前の唾液分泌速度、唾液pH、唾液中カルシウム濃度を測定した。測定前日より激しい運動等は控えさせ、測定日は運動等は実施しない平常の生活とした。また、対象者から、日常的にカルシウムのサプリメント等で、通常以上にカルシウムを多く摂取している者は除外した。その結果、男女ともに日内変動は見られなかった。また、食前(早朝空腹時、昼食前、間食前、夕食前)、食後(朝食後、昼食後、間食後、夕食後)を比較しても差は見られなかった。日差変動の検討では、約1ヶ月間に3回の測定(早朝空腹時、午前、午後)を実施した。女性においては、月経周期の影響を検討するために、月経期、排卵期、黄体期における測定とした。測定は、唾液分泌速度、唾液pH,唾液中カルシウム濃度とした。その結果、男女ともに、有意な日差変動も見られなかった。しかし、女性群においては、対象者を増やして、さらに、月経周期による変動がないか、測定回数も増やして検討する事が望まれた。
|