研究課題/領域番号 |
22650145
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
麻見 直美 筑波大学, 体育系, 准教授 (10300005)
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キーワード | 唾液 / コンディショニング / バイオマーカー / カルシウム / 骨密度 |
研究概要 |
スポーツ選手の骨の状態を評価する一手段として、本研究では唾液に着目し、唾液が、スポーツ選手のコンディショニングのための科学的サポートツールの一つとしてのバイオマーカーとなり得るか否かを検討している。 この目的のために、唾液中カルシウム濃度と骨密度および骨塩量の関係を検討した。骨塩量・骨密度はDXA法による全身測定とした。対象は、20歳代の男女である。 対象者の体格は、身長、女子160.3±5.7cm、男子174.2±8.6cm、体重、女子52.7±6.9kg、男子73.0±9.6kg、BMIは女子20.5±1.7、男子24.0±1.5であった。また、平均唾液中カルシウム濃度は、女子で34.9±10.8mg/dl、男子で38.6±21.4mg/dlで、骨密度は、女子1.14±0.07g/cm2、男子で1.38±0.09g/cm2であった。また、唾液中カルシウム濃度と骨密度の相関を見ると、全体では、r=0.114(p=0.664)で相関は見られなかった。また、男女別の検討でも、女子でr=0.074(p=0.861)、男子でr=0.027(p=0.946)であり、関係性は見られなかった。習慣的なカルシウム摂取状況と唾液中カルシウム濃度の関係においても有意な関係はみられなかった。なお、唾液PHに及ぼす身体活動の影響を確認するために、運動前後の唾液phを検討したが、唾液PHは発汗量の影響を受け変動することが明らかとなった。したがって、唾液採取のタイミングは発汗の影響を受けない条件に整える必要性が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データの収集は概ね計画通りに進んでいるが、期待した結果が得られる見通しにはなっていない。 唾液中カルシウム濃度と骨密度に関係があることを期待して実験を進めているが、これまでの結果からはその可能性が低いと言わざるを得ない結果となっている。 唾液中カルシウムと骨の状態に関係性がないかの詳細を動物実験でも検討を始めている。
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今後の研究の推進方策 |
骨密度の低い対象者を集め、その対象者におけるカルシウム摂取状況、唾液中カルシウム量を集中的に測定することで、さらに唾液中カルシウムと骨の関係の有無の詳細に検討する。
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