研究課題
不慮の事故や疾病等による神経・筋損傷の報告は枚挙にいとまがない。これらの損傷は、形態的のみならず、機能的な抑制も引き起こすので、日常の生活におけるquality of lifeの低下を招く。それに起因した身体活動量の減少は、メタボリックシンドロームの誘発因子ともなり得るので、損傷筋および神経の再生処方の解明は必須である。そこで、温熱刺激に誘発されたheat shock protein (HSP)72発現等に伴う細胞の活性化を利用した神経筋の再生助長を計画した。塩酸ブビバカイン注入による片側後肢筋に損傷を有する動物を420Cの温水に30分温浴させることによりHSP72陽性細胞が検出されたが、反対側の健常筋には認められなかった。HSP72発現は、筋線維基底膜に密着して存在するラミニン陽性の小管内に局在している核に観察された。形態的分析の結果、これらの細胞は骨髄および白血球細胞であることが確認された。また、温熱刺激により発生するHSP72陽性細胞を損傷筋線維が特異的に誘導することが明らかとなった。また、線維外にあるHSP72陽性細胞が何らかの機構で筋再生に関与するという示唆も得られた。そこで、活性化した骨髄細胞等の移植による再生助長も試みた。レシピエント動物の拒絶反応により顕著な効果は得づらかったが、移植細胞が損傷筋に動員されることは明らかとなった。これらの筋における遺伝子およびタンパク質発現も網羅的に分析したので、温熱刺激による筋再生助長機構が明らかになりつつある。
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