研究概要 |
体育の授業で「運動ができるようになる」習熟過程での子どもの「運動能力を絶対評価」する適応型コンピュータテスト方法を構築することを目的とした.小学校体育6領域で学習する大量の運動項目を系統分類し,項目反応理論(item response theory:IRT)による絶対評価テスト技術,個人の能力水準に適合した質問を選択していく適応型テスト技術,第3世代のコンピュータテスト技術,動画データベース技術を適用した.そのために,1)小学校体育6領域で学習される大量の運動課題からテスト項目を系統分類した.2)体育で個人が成就した運動習熟パターンデータに項目反応理論(IRT)の数理モデルを適用して,テスト項目特性とテスト特性を分析し,運動能力の絶対評価基準を分析した.対象は小学4年生から6年生の男女計287人であった.手順は,1)体育年間単元で学習する全運動課題からテスト項目を系統分類した.2)運動局面の分解画像質問による運動成就質問紙を作成し,単元終了時に運動成就を測定した.3)体育6領域ごとに項目反応理論(IRT)の数理モデルを適用して,運動成就パターンデータからテスト項目特性を分析し,体育で習熟する運動能力の絶対評価基準を分析した.調査時期は対象校と相談の上,年間単元計画を考慮して決定した.各運動のテスト項目は「できる/できない」の合否判定尺度を用いて構成した.運動成就テストデータに基本2値モデルの項目反応理論(IRT)分析を適用して,テスト項目の一次元性と適合性,テスト項目特性曲線(ICC),テスト項目特性値と能力推定値の不変性,テスト項目情報量(IIF),テスト特性曲線(TCC),テスト情報量(TIF),テストの精度と信頼性,テストの併存妥当性を分析した結果,体力つくり運動系は4種目27項目,器械運動系はマット17種目99項目,鉄棒15種目84項目,跳箱7種目49項目,陸上運動系は4種目32項目,水泳系はクロールと平泳ぎで9種目59項目から構成される運動能力の絶対評価基準が作成された.
|