研究概要 |
【目的】小学校中高学年の体育授業で「運動ができるようになる」習熟過程における子どもの「運動能力の達成度(絶対)評価基準」を分析し,適応型コンピュータテストアルゴリズムを構築した. 【対象】小学3年生から6年生の男女計284人. 【手順】1)体育年間単元で学習する運動課題からテスト項目を系統分類した. 2)新体力テスト8項目を測定し,体力テスト合計点とともに併存妥当性基準とした. 3)運動局面の分解画像質問による運動成就質問紙を作成し,毎回の体育授業での運動成就を記入した. 4)項目反応理論(IRT)の数理モデルを適用して,運動成就パターンデータからテスト項目特性を分析し,体育の単元毎に,体育授業で習熟する運動能力の達成度評価基準を分析した. 5)新体力テストの体力合計点,走跳投の測定値を基準として併存的妥当性を分析した. 6)適応型テストアルゴリズムを検討し,基準必須項目を分析した. 【調査期間】調査時期は対象校と相談の上,年間単元計画を考慮して決定した. 【調査項目】各運動のテスト項目は「できる/できない」の合否判定尺度を用いて構成した.器械運動系では,マットが17種目99項目,鉄棒が15種目84項目,跳箱が7種目49項目であった.水泳系では,クロールと平泳ぎで9種目59項目であった.ボール運動系では,サッカーの技術・戦術で62項目であった. 【データ分析】運動成就テストデータに基本2値モデルの項目反応理論(IRT)分析を適用して,テスト項目特性とテスト特性を分析した. 【結果】1)小学校体育6領域で学習される大量の運動課題からテスト項目を系統分類した. 2)体育での運動習熟過程における運動能力の達成度評価基準を構成した. 3)新体力テストとの併存的妥当性を確認した. 4)個人の運動能力水準に適合した動画質問による適応型コンピュータテストアルゴリズムを構築した.
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