1)腸内細菌除去マウス骨格筋にカルディオトキシンを投与し、再生修復が遅延することを確認。菌体多糖体により骨格筋修復遅延が回復することを確認した。繰り返しの観察により、筋重量の回復過程、筋線維周囲径の回復過程に統計的に有意な差があることを見出した。腸内細菌の成分が、損傷組織の修復過程に影響を及ぼすことを示すデータである。 2)若齢マウス(8週)と高齢マウス(48週以上)にあらかじめ乳酸菌(プロバイオティクス)を経口投与しておいた後にカルディオトキシンの骨格筋内投与により筋損傷を作成、その後の再生修復過程を比較した。高齢マウスは若齢マウスに比べて再生過程の時間経過に有意な遅延が見られることが確認された。乳酸菌投与により、再生が促進され、筋重量、筋線維周囲径の増大がみられた。しかし損傷がなくても筋線維周囲径の増加傾向がみられた。この傾向は若年マウスにおいてより顕著であり、乳酸菌投与単独で損傷の有無に関わらず骨格筋量の変化が起こる可能性が示唆された。損傷の修復過程には差がみられなかったものの、高齢者において乳酸菌の摂取は骨格筋量と機能維持に有用である可能性が示唆された。乳酸菌の菌体成分投与によっても筋量の増加傾向がみられており、今後サルコペニア対策に有用である可能性が示された。
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