研究概要 |
脂肪性肝疾患に対し,肝脂肪化とそれによる肝の炎症と線維化を改善するために,筋肉でのグルコースの利用率を増加させ、インスリン抵抗性を改善する必要がある.このことより,適度な運動による骨格筋量の維持は重要である。長期間の運動療法の介入により,慢性肝疾患の進展の抑止を図る意義は大きい.また,運動療法の効果判定について,ルーチンの項目に加え,脂肪化,炎症と線維化の肝病態の改善度を反映する血中の分子マーカーを探索し,非侵襲的に,反復してモニターすることが可能な新しい測定システムを構築することも重要である. 本研究開始以降に消化器内科外来に通院する脂肪性肝疾患の患者のうち,病名および病状について充分な説明を受けており,研究に関してのインフォームドコンセントが得られている患者症例約20例について,スポーツ健康外来にて新しい運動療法による減量介入試験を開始した.電気刺激による筋収縮と自発筋収縮の混合運動であるハイブリッド(Hybrid)訓練法は,長期宇宙空間滞在に合併する骨格筋系廃用予防の目的にて考案された訓練法である.健常人を対象とした24週間のHYB訓練により,訓練部位骨格筋の肥大効果が証明されている. 本研究では,脂肪性肝疾患患者を対象として,Hybrid訓練法による脂肪性肝疾患の改善効果について検討した.主要評価項目は肝機能障害の改善である.副次的評価項目として,安静時エネルギー代謝量をはじめとする代謝機能の評価,アデイポサイトカインの評価,酸化ストレスマーカーの評価,肝脂肪化および骨格筋脂肪化の画像検査による評価した.現在,血清標本の一部,画像情報を研究用試料として提供を受け,医療情報とともに総括的に解析中である.
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