研究課題
国内では動脈硬化を起因とする死亡原因が30%近く占めているため、動脈硬化性疾患のリスクを軽減させることは重要な課題である。しかし、運動効果には、個人差があることから、運動指導には個人対応型の運動指導が必要である。本研究では、運動により改善される動脈硬化指標の個人差に影響を及ぼす血管拡張・収縮調整性因子の遺伝子多型を探索した。被験者は、健常な18~75歳までの男女769名を対象とし、β3-アドレナリン受容体(ADRB3)のTrp64Arg遺伝子多型をTaqman法にて判定し、動脈スティフネスの指標として頸動脈β-stiffnessおよび血圧、アテローム性動脈硬化の指標として頸動脈内膜中膜複合体厚(ccIMT)を測定した。体力レベルは最大酸素摂取量を測定し、各年代・性別ごとの最大酸素摂取量の中央値を基準に体力の高い群 (High-Fit群) と体力の低い群 (Low-Fit群) に分けた。High-Fit群の体脂肪率、トリグリセライド、血糖は、Low-Fit群と比較して有意に低値を示し、HDLコレステロールおよび最大酸素摂取量は、Low-Fit群と比較してHigh-Fit群で有意に高値を示した。ADRB3 Trp64Argの遺伝子多型間においては、すべての項目に有意な差が認められなかったが、Low-Fit群において、ADRB3 Trp64ArgのTrp/Trp型およびTrp/Arg型と比較して、Arg/Arg型のccIMTは有意に高値を示した (p<0.05)。一方、High-Fit群のccIMTは、多型間で有意な差が認められなかった。本研究の結果から、ADRB3 Trp64Arg遺伝子多型のArg/Arg型で運動習慣のない者は、アテローム性動脈硬化リスクが増大するため、継続的な運動の実施を指導する必要性がある可能性が示された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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