歩行困難者の身体の不自由に由来する日常の生活上の不便と苦痛から解放されることが重要である。本研究では高齢者が自立した生活を長期間にわたって持続できる電動ビークルの開発のための、高齢者の椅子坐位姿勢の問題点とその解決法の基礎となる指針を提案するために実験的検討をすることである。 本年度は電動車椅子を試走させるための模擬走行装置を試作し、理想的な道路を走行している状態の再現できるようにした。そして目標としている電動ビークルの設計を具体化するために、傾斜した道路を走行した状態を作るために模擬走行装置を傾斜させて、走行時の姿勢評価指標に関する実験と解析を行った。被験者は高齢者20名とした。人体計測ならびに解析項目は座圧の変動、背もたれ圧、脹ら脛と頚部の血流速度ならびに、走行時の頸の前傾角度、肘の角度、肩の角度等を測定し、心理的、身体的負担とした。傾斜角度が大きくなるに従い脹ら脛での血流の増加などが見られた。こうした血流や座圧などの測定値と主観的負担感の関係を調べ、ビークル設計のための評価指標を検討した。また、提案している電動ビークルは座面が高いため転倒が問題とされている。このため転倒防止機能を設計するためのシミュレーションプログラムをソフトウエアADAMSを用いて作成し、人が乗った状態での傾斜道路走行時の姿勢制御アルゴリズムを検討した。シミュレーションの結果、体重に応じた転倒防止が可能なことを確認した。
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