(研究開始当初の背景)老人介護福祉施設では、痴呆性患者が徘徊をすることにより、患者の生命の危険、あるいは患者・家族に対する施設管理上の問題が生じる。館内の出入り口を施錠することは、消防法に違反することになるため、何らかの対策を講じる必要がある。 (研究の目的)本研究では、ICT技術を使用することにより、患者の安全、患者の家族の安心を確保することを目的とする。 (研究の方法)上記の目的を達成するため、痴呆性患者にアクティブ型ICタグ(RFIDのICタグ)を装着させ、夜間の徘徊等の無断外出を抑止あるいは防止する。しかしながら、RFIDだけでは感知範囲が広く、無断外出を特定することが難しいため、人間を感知する画像処理システムを併用することにより、出入り口付近の限られた範囲内で無断外出を判断することとする。RFIDシステムと画像処理システムを併用したことにより、より精度の高い患者の無断外出の判定ができる。さらに、無断外出者があったときには、あらかじめ録音された音声データをスピーカを使って呼びかけて、患者本人に語りかける仕組みも組み込む。このシステムにより、実用化に耐えうる痴呆性患者の無断外出の抑止あるいは防止システムを制作する。 (研究成果)RFIDによる感知結果と画像処理の感知結果はいずれもメールで送信される。それらのメールから無断外出者を判定・特定するメールサーバシステムを構築した。現在のところ、本研究の基本的な構成はできあがり、基本実験を行いながら、本研究の有効性を担保するために実践的実験データを累積している。 語句の説明:RFID(Radio Frequency Identification)は無線によるID情報他を通知できるシステムである。
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