研究概要 |
発がんの抑制に寄与する食品として野菜の摂取は有効であることは実験動物・疫学調査で明らかになりつつあるが,がん罹患や抗がん剤奏効率には個人差があることから,野菜摂取による発がん抑制効果にも個人差があることは推測される. これまで欧米人の食習慣を基礎としたアブラナ科野菜の発がん抑制効果が多く報告されてきたが,世界一の長寿国である日本の食習慣を基礎としたアブラナ科野菜の発がん抑制効果の報告はない.もし日本の食習慣を基礎としたアブラナ科野菜の発がん抑制効果を明らかにして,ヒトがどれだけのアブラナ科野菜を摂取したら期待する発がん抑制効果が得られるのかを明らかにすることができれば,これまでなかった食事摂取基準値の提示をとおして人々の健康増進に役立つと考えられる. ヒトががん予防効果を得るために必要なアブラナ科野菜摂取目標量を推定するための既存の方法はこれまでに報告はあるが,いずれも被験者に試験期間中アブラナ科野菜の摂取の禁止を強いるものであった.アブラナ科野菜由来のがん予防成分の代謝物をHPLCで分別定量する方法を確立し,被験者は試験期間中であってもアブラナ科野菜の摂取が可能となった.アブラナ科野菜の摂取目標量の設定には50-100名の被験者に連続した数日間の試験への参加を依頼するため,本研究で開発した試験方法をこれに適用すると,被験者の負担を大きく軽減することができる.
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