研究課題
コレステロールや鉄、ビタミン12などの栄養素の血中輸送担体の多くは、特異的レセプターを介してエンドサイトーシスにより細胞内に供給される。このエンドサイトーシスに必要なアミノ酸配列はレセプターの細胞質ドメインに高度に保存されるFD/ENPVY配列により担われている。本研究ではFD/ENPVY配列を有する未同定のレセプターを融合タンパクとして発現・精製し、このタンパクをアファイニテイクロマトとして用いて、そのリガンドを精製・同定することを目指した。さらに、同定されたリガンドである新しい血中輸送担体の機能を可溶性レセプター融合タンパクを用いて解析し、肥満や糖尿病、動脈硬化などの食習慣病研究にフィードバックすることを最終目的とした。イン・シリコにて、FD/ENPVY配列を有するタンパクをコードする遺伝子のゲノムワイド・スクリーニングと発現レベル、臓器特異性、遺伝子リンケージなどを解析した結果、メガリン、LDLレセプター、LDLレセプター類似タンパクなどを含む、十数個のタンパクがピックアップされた。これらのタンパクのうち、最もその機能や性質が不明なCUB and sushi multiple domainタンパクを本研究でモデルタンパクとして用いた。CUB and sushi multiple domainタンパクをhis-mycタグと融合させたcDNAをHEK293細胞に導入し、高発現する細胞を得て、myc抗体カラムを用いてこのタンパクに特異的に結合する分子量約25Kのタンパクを精製した。現在、リガンドの可能性の高い分子量約25KのタンパクをLC-MS-MSを用いて、同定・解析中である。
すべて 2012
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Clin Chim Acta.
巻: 413 ページ: 441-447