パラチノース・オレイン酸の組み合わせ食(PO)及びその対照であるシュクロース・リノール酸(SL)の組み合わせ食をラット母体が摂取した場合の出生児の肥満、糖尿病発症に与える影響を膵臓Pdx1のエピジェネティクス制御に着目し検討した。食餌の種類によりPO、SL及びPOの50%カロリー制限POCR、SLの50%カロリー制限SLCRの4つの群に分けた。さらに、すべての群の出生児に肥満・2型糖尿病を誘発する高ショ糖高脂肪食を食べさせた。3週齢(離乳時)の時点では、血漿インスリン値及び膵臓のPdx1とInsulin1のmRNA発現はSL群に比べ、PO群、POCR群、SLCR群で低値がみられた。しかし、Pdx1に対するエピジェネティクス変化は認められなかった。 続いて出生児に12週間高脂肪食負荷した15週齢の時点では、OGTTと膵島形態学的評価によりPO群とPOCR群はインスリン抵抗性をより誘導したことが示唆された。しかし、膵臓のPdx1とinsulin1のmRNAレベル及びPdx1のエピジェネティクス変化は認められなかった。以上より、妊娠期のCR及びPO食摂取は、出生児の肥満及び代謝異常を促進させた。また、膵臓Pdx1以外の因子がエピジェネティクス制御に関与していることが明らかになった。
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