本研究の目的は精神疾患で入院する高齢者を対象として栄養管理を支援することにある。 平成22年度は主に単科精神医療機関の栄養管理と栄養療法の現状を分析した。 (1) 平成22年度の調査フィールド 兵庫県内の2施設から調査の同意を得たが、研究機関から近くNSTを実施している医療法人内海慈仁会姫路北病院(兵庫県神崎郡福崎町329床)から調査を実施した。 (2) 単科精神科病院での栄養管理活動の現状調査 NST回診記録、栄養管理や褥瘡に関する委員会の報告書を分析した。さらにNSTの対象となったそれぞれの患者の診療録の調査と医師・看護師の聞き取りを行い、NST対象者の病態を明らかにした。この調査から単科精神科病院における体重減少、褥瘡、嚥下障害などの現状が明らかにできた。 (3) 長期入院患者の栄養状況の分析 精神科の長期入院患者の栄養状態を調査するため1カ月以上入院する全患者を対象として身体測定を実施した。車いす生活者は椅子型体重計を用いて計測した。この結果を2007年に実施した時のデータが存在した53人において分析した。この結果50歳台を境として体重が減少に転じることが明らかになった。さらに個々の患者が持つ便秘、咀噛機能障害、精神症状などの要因を分析した。 (4) 抗精神病薬の経腸栄養への影響の解析 経鼻胃管やPEGなどから濃厚流動食を注入する患者の栄養管理と抗精神病薬などとの関係を分析するため、注入後の血糖変動を指標とした解析方法の確立を目指した。連続血糖測定装置(GCMS)を用いて測定を実施し、現在結果を解析している。
|