研究概要 |
本研究の目的は,日常おこなわれる健康管理の利便性と簡便性向上のために,食事量の可視性と定量性を実現するための画像処理手法の開発と,その健康管理への貢献の有無を予備調査することにある.具体的には,近年民生機器として普及が始まった3次元カメラを用い,被験者が日々の食事をデジタルカメラで撮影するだけで,摂取した量やエネルギーを計測・推定できるものを目指す. 平成23年度は,(1)コンピュータビジョン技術に基づく定量計測,(2)食事画像撮影と被験者実験,を行なった.項目(1)では,ステレオカメラからの距離計測のために必要なステレオキャリブレーション,画像の平行化,視差マップの推定を実現し,食材のサイズを計測することが出来るシステムを作成した.項目(2)においては,公衆衛生を学ぶ学生を対象とし,実際に6種類のハンバーグと3種類のサイズの皿の組み合わせで撮影を行い,計測結果の有無が食品の大きさ推定に与える影響を調べる実験をおこなった.実験結果より,食品のサイズだけでなく,厚みを知ることが重要である事と,食器との相対的な大きさが人の判断に影響するということが確認された. 以上の事より,公衆栄養の専門家であっても食事量を推定することは難しいタスクであり,本研究が目指した「食事量の計測」に加え,栄養指導における食事量計測のための補助手段としての有用性を確認した.
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