研究概要 |
1平成22年度に引き続き,疑似科学的言説が用いられた学校教育の実態並びに疑似科学的言説に対する態度を調査するためのアンケート調査を実施した. (1)大学生1,451名(8大学)高校生343名(2校)の調査の結果,1割を越える学生・生徒が疑似科学的言説を用いた授業の経験を記憶しており,その多くが「水からの伝言」と派生物であることが明らかとなった.また,ほぼ全国で行われていること並びに理科で肯定的に扱われている事例があることが判明した. (2)疑似科学的言説に対する態度について分析した結果,「マイナろイオンは健康に良い」,「電磁波は人体に良くない」,「ゲルマニウムは体に良い」,「創造性を培うためには右脳を鍛えると良い」,「ゲームをしすぎると脳が損傷を受ける」といった言説が高い割合で受け入れられていることが明らかとなった.また,ゲルマニウムとマイナスイオンは高い相関性をもって認識されていることも判明した. 2平成22年度に引き続き,血液型と性格に関するデータベース解析を実施した. (1)JNNデータバンクのデータベースから,解析に使えるサンプルをすべて抜き出し,解析を行った,その結果,過去の研究のうち山崎・坂元(1991)で得られていた結果を拡張することができた. (2)21世紀以降のデータでは,安定して血液型ごとに性格の自己申告について有意な差が出ることが判明し,血液型性格判断の蔓延が性格の自己認知に影響を与えていることがわかった. 3これらの研究結果を踏まえて長崎大学において全学教育科目「疑似科学とのつき合い方」を実施し,単に科学リテラシーを教授するのみならず,論理的・合理的な思考を訓練する授業を開発した.
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