研究課題/領域番号 |
22650206
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
鈴木 克明 熊本大学, 大学院・社会文化科学研究科, 教授 (90206467)
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研究分担者 |
根本 淳子 熊本大学, 大学院・社会文化科学研究科, 助教 (80423656)
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キーワード | 教育工学 / 教育設計 / 美学 / デザイン原理 / 芸術的原理 / ペルソナ手法 / ユーザーストーリー / 学習経験の質モデル |
研究概要 |
今年度は、引き続き、これまでの欧米における先進事例研究を調査した。具体的には、教育設計における社会・文化的配慮についての動向を調べ、その成果を、関連学会にて報告した。Ginsberg & Wlodkowskiが提唱する「学習意欲のIAWCフレームワーク」や米国の教室で支配的な言語的・文化的・政治的な規範と異なる考え方との比較表は、我が国における教育設計への示唆に富む。また、Rogersら国際的なID実践経験者へのインタビューをまとめて明らかにした文化的差異(一般的な文化・社会的期待、指導・学習上の期待、言語と記号、技術的なインフラと慣れ)、あるいはParrishらが提唱する「学習の文化的次元フレームワーク(Cultural Dimensidn of Learning Framework ; CDLF)」を精査し、我が国における教育実践への示唆をまとめた。 一方で、Parrishの提唱する学習経験の質モデルを勤務校のストーリー中心型カリキュラムを構築するデザイン研究の中で活用したり、学習者が学習経験を省察するためのツール「ラーニングスケッチ」としての実装を試みたり、また、導入教育(オリエンテーション科目)分析に応用し、その適用可能性を模索した。この成果は、それぞれ査読付論文として発表した。また、教育設計に関する動向をまとめた解説論文「教育設計についての三つの第一原理の誕生をめぐって」では、本研究の成果の一部としてParrishの「ID美学の第一原理」を取り上げ、学習経験の質の差を左右する学習者要因・環境要因とともにまとめて解説を執筆・公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画にあった、ペルソナ手法に基づいてユーザーストーリーを描くことで「学びたさ」の誘発・阻害要因を検証する方法について、我が国での適用可能性を、医薬従事者の対人コミュニヶーショシ訓練に関する企業内教育の場面を取り上げて検討する計画がうまくいかなかった一方で、文献研究などの関連調査は予定以上の成果があり、論文3篇、学会発表3篇として公表することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画にあったが進展がおもわしくない、ペルソナ手法を応用した「学びたさ」の誘発・阻害要因を検証する研究については、引き続きその実現に向けて努力する。その一方で、異なる手法や異なる実施場面において引き続き知見の積み上げを工夫し、最終年度である今年度末には、具体的な研究知見としてまとめていきたい。
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