本研究の思考プロセス活用支援システムで主な入出力用ディバイスとしたタブレット型パソコン(以降TPC)上で動作する教材ソフトウェアの開発,及びデジタル読解力指導法おける思考プロセス活用支援システム活用の教育効果を検証した。 教材ソフトウェアの開発においては,小学校算数科の直方体・立方体の展開図を手掛かりにした念頭操作への支援に着目した。これまで公開されてきたソフトウェアの多くが真上から見た展開図を,斜め上から見た図に変換した後に,立方体を構成させる設計になっているため,机上に見る展開図と形が異なり,念頭操作につなげにくい場合があった。本研究では,教科書やノートに示される展開図と同様に,底面を固定させた提示方法により,観察や構成などの活動の支援を可能にした。また,児童の目線に対する画面の提示位置が柔軟に変更できるTPCの利用により,正面または机上等の画面の提示位置による教育効果の差異についても検討した。 デジタル読解力指導法における教育効果検証では,第4学年の国語(全12時間,本時4~8/12)の授業において,発表記録用にペン操作・音声を同時記録できるソフトウエをインストールした2人に1台となるタブレット型コンピュータ15台を利用した。この授業において,デジタル読解力に関連する「情報へのアクセス・取り出し」,「テキストの統合・解釈」,“発表記録の活用”,“コンピュータの操作” に関して,児童へのアンケート調査を実施した結果,“発表記録の活用”が,調べた内容の再整理,発表方法の工夫に寄与していることが確認できた。また,ワークシート(紙)に記入された教師によるコメントが特に有効であることも確認され,児童自身の気づきと教師によるコメントの双方を活用できるシステムの重要性が示唆された。
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