研究課題
本研究は、将来的には古環境復元への応用までを視野に入れながら、プラントオパール(生物源シリカ)や植物起源セルロースの質量分析情報から、新たにどのような環境情報を読み取ることができるかについて明らかにすることを目標においた。最終年度にあたる本年度は、前年度までの成果をもとに、1つの山岳地において、詳細な高度別のササ類プラントオパールの酸素同位体比組成を測定し、プラントオパールの同位体比情報と、気温など、その地点の現在の環境情報との関係性について検討した。その結果、いわゆる天水の酸素同位体比情報を基準にすると、プラントオパールの酸素同位体比情報は、植物体中の水の蒸発散に伴う同位体比分別に強く影響を受け、たとえば石英などの鉱物中の酸素同位体比に近い値を示すのではないか、という、前年度までに得られた傾向が確認できた。また、プラントオパールの酸素同位体比情報と気温(高度)との間には、個別地点ごとのばらつきは認められるものの、おおむね、負の相関関係があることがわかった。また、一般にいわれる水の酸素同位体比と水素同位体比の間に認められる強い相関関係については、当該試料についてはさして明瞭にあらわれてはいないことがわかった。後者の原因については、いまのところ明確ではないが、将来に向けた検討をつづけたいと考えている。セルロース試料については、当初計画で考えていた酸素同位体比の解析において他研究機関による研究成果が先行していたため、やや方向性を変えて、タンパク質の翻訳語修飾について検討すべく軌道修正した。まとまった分析検討結果を出すところにまでは至らなかったが、検討の方向性への道筋は得られたかと考えている。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (5件)
考古学と自然科学
巻: 64 ページ: 受理済
Anal. Bioanal. Chem.
巻: 404 ページ: 125-132
10.1007/s00216-012-6093-5
Biopolymers (Peptide Science)
巻: 98 ページ: 111-121
10.1002/bip.21730
巻: 97 ページ: 629-641
10.1002/bip.22054
J. Phys. Chem. B
巻: 116 ページ: 6908-6915
10.1021/jp212631q