研究概要 |
初年度は活断層の位置と地下構造がトレンチ調査によって確定している地点で地下レーダー調査を実施し,地下構造とレーダー画像を比較検討することによって,地下レーダー画像から伏在活断層を認定する基本的な手法を検討するために調査法の改良と試験的調査を中心に,日本の横ずれ活断層の典型である四国中央構造線活断層系の徳島県吉野川北岸地域およびの和歌山県紀ノ川北岸地域において既知の断層線を対象に現地調査を実施した. 1.波長の異なるアンテナの比較:波長が400MHz,200MHz,70MHzの三種類のアンテナの本調査への適性を現地調査で検討したところ,200MHzアンテナが分解能と探査震度を勘案すれば,活断層の地下構造調査に適していることが明らかになった. 2.地下レーダーの記録の比較:地下レーダーでは,どこでも鮮明な地下構造記録を得ることができないことが明白になった.特に,断層変位を受けた地層や調査地域の水分条件が重要であり,活断層が位置することが確実な場所でも,調査断面記録からは活断層を認定することは困難であった.調査適地を慎重に選定することが不可欠であることが分かった.徳島平野低地部の地下水位が高い沖積層の断面記録では活断層は認定できなかったが,相対的に乾燥した段丘堆積物の断面記録では,断層位置を示す記録が得られた.一方,砂浜や内陸部の離水浜堤では,砂層の堆積構造が明瞭に記録され,このような場所での伏在活断層の位置の認定には有効である. 3.機材の改良:次年度の調査を効率的に行うために,固定式の探査装置を機材(本体及びアンテナ)を一緒に運搬する移動装置を作成した.これによって,ケーブルの長さによって,最長50mに規制されていた調査側線長を大幅に改善することができた.
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