研究課題/領域番号 |
22650224
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
河田 則文 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30271191)
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研究分担者 |
LE THUY 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 博士研究員 (10572175)
元山 宏行 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 医員 (00573601)
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キーワード | サイトグロビン / 乳癌 / 間質細胞 / 線維芽細胞 / ビタミンA / 自然発症 |
研究概要 |
欧米諸国では女性の10人に1人が乳癌を発症し、その2割が乳癌死する。近年日本でも社会問題化しており"ピンクリボン"などで啓蒙活動や検診の受診勧奨が叫ばれている。申請者らは2000年に肝臓のビタミンA貯蔵星細胞から発見したグロビン蛋白サイトグロビン(Cygb)を欠損したマウスを作出したところ、高齢の雌マウスに70%の確率で乳腺の増生・癌やリンパ腫を発症することを見出した。野生型のC57/Bl6マウスでは乳癌などの腫瘍は発生しないため、この結果はCygbの欠損が乳癌の発症を誘導すること、即ちCygbが発癌抑制因子の一つであることを強く示唆する。本研究ではこの自然乳癌発症モデルを用いて、癌発生過程におけるCygbの意義、また、発癌過程における間質細胞と上皮との相互作用分子メカニズを明らかにする事を目的として開始した。Cygb^<-/->雌マウスでは生後8週程度からductular carcinoma in situ(DCIS)が発生し、その後徐々にエストロゲン受容体やHER-2発現が増強するがんへと成長することが明らかとなってきた。また、がんの周囲にはcellular retinol-binding protein(CRBP)発現細胞が存在し、野生型ではこの細胞にCygbが強発現することが観察された。乳癌は女性を中心とした世界規模疾患であり、本研究で得られる情報の社会的貢献度は多大である。肝臓や肺、皮膚を含む他臓器の発癌へのCygbの関与について、遺伝子変異との関係も含めて検討を広げる予定である。
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