脂質メタボロミクスによるがん微小環境再構築メカニズムの解析

2011 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 22650230
• 研究種目: 挑戦的萌芽研究
• 配分区分: 補助金
• 研究分野: 腫瘍生物学
• 研究機関: 公益財団法人がん研究会 (2011); (財)癌研究会 (2010)
• 研究代表者: 清宮 啓之 公益財団法人がん研究会, がん化学療法センター分子生物治療研究部, 部長 (50280623)
• 研究分担者: 右田 敏郎 がん研究会, がん化学療法センター分子生物治療研究部, 研究員 (20462236) ; 馬島 哲夫 がん研究会, がん化学療法センター分子生物治療研究部, 研究員 (30311228)
• 連携研究者: 田口 良 中部大学, 大学院・生命健康科学研究科, 教授 (20080210) ; 斎藤 慎一 東京理科大学, 理学部・第一化学科, 教授 (80283076)
• 研究期間 (年度): 2010 – 2011
• キーワード: 脂質代謝 / 細胞増殖 / がん / 微小環境 / メタボローム / ATP-クエン酸リアーゼ / 活性酸素 / 酸化ストレス

研究概要

がん細胞は脂質を盛んに合成するが、その意義は不明である。今回我々は、脂質代謝酵素ATP-クエン酸リアーゼ(ACLY)の枯渇ががん細胞の増殖を抑えること、この効果は活性酸素(ROS)およびAMPKと呼ばれる酵素のリン酸化が低い細胞で大きいことを見出した。ACLYの枯渇はパルミチン酸の上昇をもたらした。パルミチン酸の増加はROSを誘導するため、これが制がん効果につながるのかもしれない。進行した大腸がんではAMPKのリン酸化と酸化ストレスが低く、ACLYの阻害が新たな治療戦術となる可能性が示唆された。

研究成果

• [雑誌論文] Role of acyl-CoA synthetases in glioma cell survival and its therapeutic implication (2011)
  • 著者名/発表者名: Mashima, T., Seimiya, H.
  • 雑誌名: Tumors of the Central Nervous System 巻: 1 ページ: 337-340
  • 査読あり
• [雑誌論文] Molecular pharmacological approach reveals potential new strategies to suppress androgen receptor signaling in prostate cancer (2011)
  • 著者名/発表者名: Mashima, T., Okabe, S., Seimiya, H.
  • 雑誌名: Mol Cell Pharmacol 巻: 3 ページ: 7-12
  • 査読あり
• [雑誌論文] Pharmacological targeting of constitutively active truncated androgen receptor by nigericin and suppression of hormone-refractory prostate cancer cell growth (2010)
  • 著者名/発表者名: Mashima, T., Okabe, S., Seimiya, H.
  • 雑誌名: Mol Pharmacol 巻: 78 ページ: 846-854
  • 査読あり
• [雑誌論文] Role of insulin-like growth factor binding protein 2 in lung adenocarcinoma : IGF-independent antiapoptotic effect via caspase-3 (2010)
  • 著者名/発表者名: Migita, T., Narita, T., Asaka, R., Miyagi, E., Nagano, H., Nomura, K., Matsuura, M., Satoh, Y., Okumura, S., Nakagawa, K., Seimiya, H., Ishikawa, Y.
  • 雑誌名: Am J Pathol 巻: 176 ページ: 1756-1766
  • 査読あり
• [雑誌論文] TRF1 mediates mitotic abnormalities induced by Aurora-A overexpression (2010)
  • 著者名/発表者名: Ohishi, T., Hirota, T., Tsuruo, T., Seimiya, H.
  • 雑誌名: Cancer Res 巻: 70 ページ: 2041-2052
  • 査読あり
• [学会発表] Inhibition of ATP citrate lyase mediates anticancer effects via reactive oxygen species and triglyceride accumulation (2011)
  • 著者名/発表者名: 右田敏郎、岡部幸子、池田和貴、曽我朋義、田口良、清宮啓之
  • 学会等名: 第70回日本癌学会学術総会
  • 発表場所: 名古屋
  • 年月日: 20111003-05
• [学会発表] Involvement of constitutively active truncated androgen receptor(tAR) in hormone-refractory prostate cancer growth and the tAR inhibition by nigericin (2011)
  • 著者名/発表者名: Mashima T., Okabe S., Seimiya H.
  • 学会等名: 第10回日韓がん老化合同シンポジウム
  • 発表場所: 東京
  • 年月日: 20110214-15
• [学会発表] 脂質代謝酵素を標的とした乳癌、前立腺癌の治療とその分子機構 (2011)
  • 著者名/発表者名: 右田敏郎、岡部幸子、清宮啓之
  • 学会等名: 第11回関東ホルモンと癌研究会
  • 発表場所: 東京
  • 年月日: 2011-01-29
• [学会発表] ナイジェリシンによる恒常活性化型アンドロゲン受容体の抑制はホルモン再燃性前立腺がん細胞増殖を阻害する (2011)
  • 著者名/発表者名: 馬島哲夫、岡部幸子、清宮啓之
  • 学会等名: 第11回関東ホルモンと癌研究会
  • 発表場所: 東京
  • 年月日: 2011-01-29
• [学会発表] 脂質代謝酵素の阻害によるがん細胞死とその分子機構 (2010)
  • 著者名/発表者名: 右田敏郎、岡部幸子、清宮啓之
  • 学会等名: 第33回日本分子生物学会年会・第83回日本生化学会大会合同大会・ワークショップ
  • 発表場所: 神戸
  • 年月日: 20101207-10
• [学会発表] がん細胞の増殖・生存における脂質代謝酵素の役割 (2010)
  • 著者名/発表者名: 岡部幸子、右田敏郎、馬島哲夫、清宮啓之
  • 学会等名: 第33回日本分子生物学会年会・第83回日本生化学会大会合同大会
  • 発表場所: 神戸
  • 年月日: 20101207-10
• [学会発表] 脂質代謝酵素の阻害による制がん効果とその分子メカニズム (2010)
  • 著者名/発表者名: 右田敏郎、岡部幸子、清宮啓之
  • 学会等名: 第14回日本がん分子標的治療学会学術集会
  • 発表場所: 東京
  • 年月日: 20100706-08
• [図書] がんにおける脂質代謝、実験医学増刊号「がんと代謝」
  • 著者名/発表者名: 右田敏郎、馬島哲夫、清宮啓之
  • 出版者: 羊土社
• [備考]
  • URL: http://www.jfcr.or.jp/chemotherapy/department/molecular_biotherapy/index.html