研究課題/領域番号 |
22650232
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
本間 定 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (50192323)
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研究分担者 |
小井戸 薫雄 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (70266617)
伊藤 正紀 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (80297366)
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キーワード | iPS細胞 / がんワクチン / 腫瘍血管 / 癌免疫療法 / 樹状細胞 |
研究概要 |
iPS細胞を血管内皮前駆細胞へと分化させBalb/cマウスに皮下注射すると、そのマウスはCMS-4腫瘍細胞の生着を抑制し、その抗腫瘍効果は量依存的であった。一方、血管内皮前駆細胞に分化させていないiPSを用いたvaccinationの効果は低かった。このことより、血管内皮前駆細胞に分化させたiPS細胞はがんワクチンとしての効果を示す可能性が示された。さらに、iPS細胞、血管内皮細胞に分化させたiPS細胞(iPS-pBV)、CMS-4細胞のlysateをとりこませた樹状細胞(DC)でマウスを免疫すると、iPS-pBVを取り込ませたDC(iPS-pBV/DC)で免疫したマウスはCMS-4を取り込ませたDCで免疫したマウスより強力な腫瘍抑制効果を示した。iPS-pBV/DCで免疫し、腫瘍を拒絶したマウスの脾細胞からCD8+T細胞を分離し、in vitroにおいてiPS-pBVまたはCMS-4のlysateを取り込ませたDCで刺激しELISPOT assayを用いてT細胞の反応性を検討すると、前者ではIFN-gammaの産生が認められたが後者では認められなかった。このことより、iPS-pBVによるvaccinationは直接腫瘍細胞を標的とするT細胞免疫活性を誘導しているのではないことが示された。一方、iPS-pBV/DCで免疫したマウスに形成される腫瘍は成長が進まないうちから潰瘍を形成し、necrosisに陥る傾向が認められた。組織像を検討すると、免疫マウスに形成された腫瘍組織では腫瘍血管の発達が明らかに不良で、血管内内皮細胞や血管周細胞の数は減少し、その配列は著しく不整であった。以上より、iPS-pBV/DCで免疫したマウスに形成された腫瘍組織では誘導された免疫活性により腫瘍血管形成が阻害されており、このことに起因して抗腫瘍効果が得られている可能性が強く示唆された。
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