研究概要 |
1.潜在的遺伝的多様性ポテンシャル評価 周伊勢湾地域に固有の湿地生態系評価種(水生昆虫:ヒメタイコウチ,湿地性植物:モウセンゴケ類,ハルリンドウ)の遺伝的多様性評価のためのハプロタイプネットワークを構築し,GISを用いて各ハビタットの地史的要因とレイアー解析を行なった.その結果,本地域の湿地生態系評価種の遺伝的多様性は地史的要因,特に生育地の表層地質に規定していることが明らかとなった.この地域では表層地質が異なる場合には,潜在的に異なる遺伝集団として扱って行く必要があることを明らかとした(湿地研究印刷中). 2.遺伝的多様性ノーネットロスのためのシナリオ設定 周伊勢湾地域の景観,生態系,ハビタットの3つのスケール間で生物多様性評価を実施した.本評価対象地域の環境構造は,植生よりも地史的条件に特徴づけられ,種多様性と地域固有種の生息適地の空間的重複は異なることが明らかとなった.生態系の地域固有性に配慮した,流域園ゾーニングによる生物多様性マネージメントの空間指針を作成した(土木学会論文集掲載済み). 3.持続可能な社会形成へのパラダイムシフトを牽引する人材育成 2011年名古屋で開催されたESDの10年地球市民会議2012(愛・地球博記念公園)の際には,中部大学,清水建設(株)技術研究所,愛知県の産学官連携によって実施されてきた本課題の発展編として,持続可能な発展のための生物多様性保全を内在化した人材育成のための教育プログラムとしてアピールした.また,ヴェトナム・カチェン国立公園において生物多様性に配慮した人材育成プログラムとして応用可能であることを見出した(中部大学現代教育学部紀要掲載済み).
|