研究課題/領域番号 |
22651011
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
加茂 将史 独立行政法人産業技術総合研究所, 安全科学研究部門, 研究員 (90415662)
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研究分担者 |
多田 満 独立行政法人国立環境研究所, 環境リスク研究センター, 主任研究員 (00188252)
永井 孝志 農業環境技術研究所, 有機化学物質研究領域, 研究員 (10391129)
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キーワード | Biotic Ligand Model / 重金属 / 複合毒性 / 生態リスク評価 |
研究概要 |
緑藻Pseudokirchneriella subcapitataを用いて重金属(亜鉛、銅、カドミウム)の個体群成長速度に対する抑制効果を評価した。エンドポイントを個体群成長速度とし、4日間半数影響濃度(EC50)を求めると、亜鉛、銅、カドミウムでそれぞれ、0.821、0.511、0.493μMと推定された。次に、金属2種類を混合した複合暴露試験を行った。二つの金属のEC50をToxic Unit(TU)が1になるよう幾つかの比率で混合した。各金属の毒性が線形加算であると、増殖率はどの組みでも50%の減少と期待される。結果は、どの金属の組でも5:5の比率で混合したとき、増殖率は50%を上回った。期待されるよりも増殖率が高く、金属の混合曝露では互いに毒性を弱め合う拮抗作用があることがわかった。次に、この結果の数理モデルでの再現を試みた。毒性予測モデルにはBiotic Ligand Modelを用いた。まず、単独毒性試験の結果から、モデルパラメーターを推定し、複合毒性を予測したところ亜鉛と銅、亜鉛とカドミウムの組み合わせでは毒性を弱め合う、拮抗作用が示された。亜鉛と銅、亜鉛とカドミウムの組み合わせでは、モデルは非常に良く実験結果を説明することが示せた。ただし、銅とカドミウムの組み合わせでは、毒性は線形加算、もしくは若干の相乗作用がモデルからは予測され、実験結果とは若干の相違が見られた。 オオミジンコでは銅と亜鉛を用いた複合曝露試験を行った。まず、各金属の半数致死濃度を求めたところ銅で16.9mg/L、亜鉛で873.5mg/Lと推定された。これら藻類と同様TUが1になる比率で金属を混合し、複合毒性試験を行ったところ、死亡率は半数以上となった。ミジンコにおいては銅と亜鉛の複合曝露は相乗的になることが示された。
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